慶應義塾は、1890(明治23)年に文学・理財・法律の3科からなる大学部を発足させ、私立として日本最初の総合大学となりましたが、1898(明治31)年には政治学部が増設され、ここに現在に連なる慶應義塾の法律学と政治学の研究・教育体制が整いました。大学院法学研究科は、1951(昭和26)年の新しい学制による大学院設立と時を同じくして民事法学と政治学の2専攻で発足し、その後昭和38(1963)年に公法学専攻が設けられ、現在の3専攻となりました。本法学研究科は、法律学・政治学およびその関連・隣接する領域に専門をもつ70名に及ぶ専任教員からなる、日本の法律学・政治学をリードする研究拠点としての位置にある大学院の1つとなっています。
本法学研究科は、法律学・政治学における研究領域を網羅する専任教員を擁しており、自らの問題関心に応じて多彩なテーマを研究できるようになっていることは、まずもってあげられる本法学研究科の特長といえます。自らの研究テーマのみならず、関連・隣接する領域についても深くひろく学ぶことができるようになっています。
大学院の教育プログラムも多彩な科目が用意されています。個々の専門領域における研究を集中的に深める「特殊講義」「特殊研究」「特殊演習」、専門分野を同じくする複数の教員による共同指導を通じて幅広く多様な視点を養う「合同演習」、実務家などの講師を招き学際的分野の議論を拡充して把握する「総合合同演習」などの授業が設置されています。
また、現代社会における今日的課題について、多角的・多面的に考察する視点を養うことをめざして設置されておる「プロジェクト科目」は、現代性の高い特定のテーマに絞った内容を扱うもので、学内外の専門家をゲストスピーカーとして招き、そのレクチャーと参加者全員によるディスカッションが行われます。
デュアルディグリーとは、ある分野で学位を授与された後に別の分野で教育を受け学位を授与される、というように、一定期間に複数の学位を取得できる履修形態をいいます。法学研究科と経済学研究科、ならびに商学研究科では、修士課程の学生にデュアルディグリーを設けており、法学のほか、経済学や商学の専門に関心をもつ学生は、複数の研究科でそれぞれの領域を学ぶことによって、最終的に法学と経済学、あるいは法学と商学という2つの修士学位を3年間で取得することができるようになっています。
なお、経済学研究科、商学研究科以外の大学院研究科の設置する科目を履修することもできるようになっており、多岐にわたる研究領域を網羅する総合大学の強みを活かし、知見を広げることができます。
本法学研究科は、学界や実社会に多彩かつ有用な人材を多く送り出してきました。修士課程を経て後期博士課程に進学し、課程を終えた者の多くは、大学教員・研究者の職に就き、それぞれの学問分野で活躍を続けています。また、修士課程を修了した者は、企業の法務部門やシンクタンクで勤務したり、国際機関や国家機関の公務員やジャーナリストになる等、それぞれの研究歴を活かし、高度専門人として活躍をしています。