政治学専攻・修士課程に設置されたジャーナリズム専修コースでは、「政治」に強いジャーナリストを養成するための研究教育を行っています。法学研究科には政治学の多彩な専門家が勢揃いしています。こうした環境の中で専門性の高い政治学の研究に接しながら、ジャーナリストの果たすべき役割についての理解を深めてほしいという趣旨のもと、ジャーナリズム専修コースは設置されました。
履修科目としては、「政治・社会論合同演習(ジャーナリズム)」を専修コア科目(必修)とし、法学研究科と社会学研究科に設置されているジャーナリズム・メディア関連科目を専修コース科目(選択必修)として位置付けています。そして、その上で法学研究科政治学専攻の諸科目を履修できるようにし、三田キャンパスに置かれているメディア・コミュニケーション研究所の設置する科目(「取材論」「文章作法」「時事英語」「時事問題」「放送特殊講義」「新聞特殊講義」等)についても履修することができるようにしています。
課程を修了し、ジャーナリストとしての資質を備えるに至った者には、修士(ジャーナリズム)が授与されます。
2011年3月 ジャーナリズム専修コース修了
朝日新聞 福島総局 記者
力丸 祥子
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故があった2011年に記者として入社しました。最初の勤務地は津波被害が深刻だった仙台総局(宮城県)でした。大切な家族や思い出の家を失ったばかりの方々と出会い、記事を書きました。つらい経験もしましたが、「記者として話しを聞く前に、まずは一人の人間として向き合う」という私の心構えが固まったと思います。いまは福島総局で、原発事故で避難を余儀なくされた人たちへの取材などをしています。
大学院では、アカデミックな視点を持った修士・博士課程の先輩方、各国からの留学生、すでにジャーナリストとして活躍されている方との出会いや議論の時間がとても刺激的でした。同じ業界をめざす同級生がいたことも非常に心強かったです。就職の機会を得て、1年でコース修了を選択した私のように、多様な人材を受け入れているところがこのコースの魅力のひとつでもあると感じます。
当時の私にはかなり難しかったのですが、政治とジャーナリズムに関する英語の文献を何日も図書館にこもって読み解いた経験は忘れがたいです。記者になってからも、取材テーマに関わる過去の記事や報告書、文献を大量に読みます。大学院生の頃の経験が役立っているかもしれません。
国内外でいま、あらゆるメディアは過渡期にあります。このコースでの学びを通して、幅広い視野を獲得し、人脈を広げ、ぜひ一緒にジャーナリズムの世界をより良いものにしていきましょう。