法学政治学論究

 法学政治学論究は、法律学、政治学そして社会学を対象とする学術誌です。その特徴は、査読論文を掲載すること、刊行は年に4回あること、原則として学士号を有し研究に従事する者に投稿資格が認められること、にあります。

 本誌の創刊(1989年6月夏季号)当時には、上記分野においては査読制度を採用する我が国の学術誌は少なく、特に法律学分野では現在でも貴重な存在といえるでしょう。覆面の審査委員が審査するという査読は、合格論文の学術的価値を保証します。本誌がこの制度を基盤とするのは、塾大学院法学研究科に在籍する学生の研究への意欲を一層強くしたいという意図があったからです。そこに山を設けたのです。この趣旨は好意的に受け止められ、他に代替する学術誌が少ないこともあり、特に後期博士課程在籍者にとっては本誌への投稿が研究計画の柱となっています。若手研究者に研究成果発表の機会を提供する意義が本誌にはあるということです。それとともに、若手研究者は新たな論点の発掘に積極的なので、本誌が学問研究の進展に果たす役割は少なくないといえるでしょう。

 本誌の刊行は年に4回です。一度も合併号を出すことなく、年に4回刊行してきました。投稿機会は十分に確保されています。したがって、審査委員も不合格判断に躊躇する理由はありません。次の投稿機会は実質的に2か月後に訪れます。もっとも、若手研究者を育てる使命が本誌にはあります。審査報告書には、結論のみではなく、そのように判断した理由が詳細に記載されます。投稿論文の内容が合格水準に達していると判断しても、より深化させるための助言がある場合には、審査委員は、あえて条件付合格という審査結果を選択し、当該論文による学界への貢献が一層大きくなるように期待します。

 上述のような創刊の経緯から、本誌への投稿者としてはまず塾大学院法学研究科在籍者を想定しています。しかしながら、投稿規程ではそのような限定はせず、創刊当初から、原則として学士号を有し研究に従事する者に投稿資格を認めています。広く若手研究者が切磋琢磨する場として認識されることを望んでいるのです。そうした意味においては、本誌の投稿資格は、慶應義塾の精神的支柱の1つである幻の門に例えることもできるでしょう。幻の門には表札もなく、屋根もありません。学問を志す者すべてに対して開門されています。本誌も、大学院生あるいは同程度の能力を有する者であれば、塾の内外を問わず、誰に対しても機会を保障しています。本誌への投稿を心待ちにしています。




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