一木 大朔
法学研究科 民事法学専攻 修士課程2年(2023年度現在)
私は、現在、法学研究科で民法、特に債権分野について学んでいます。法学研究科へ進学した理由は、学部時代から漠然と「研究」というものに興味があったためです。元来、何かを勉強することは好きだったのですが、法学研究科に入学して実感したことは、「勉強」と「研究」とは全く異なるベクトルの作業であるということでした。「勉
強」は疑問点について学習し、その答えを自分の知識として吸収する作業であるのに対し、「研究」はそこからさらに、まだ誰も解決できていない疑問について、自分なりに答えを探していく作業だったのです。
この点、法学研究科では「勉強」だけでなく、「研究」を行うにあたって、恵まれた環境が整っていると感じています。修士一年生時のカリキュラムは、授業が中心となっており、そこでは、法律学の知識を「勉強」するだけではなく、報告の機会や様々な先生方とのコミュニケーションを通じて、「研究」とはいかにして行っていくのかという点についても学ぶことができます。そして、実際に研究をするにあたっては、国内外問わず、多くの研究資料がそろっており、自らの興味関心を深めていく環境が整備されています。
法学研究科では、これまでの「勉強」の枠には収まらない、考え抜く日々を過ごすことができます。皆様もこの貴重な経験を、ぜひ法学研究科で体験してほしいと思います。
許 楽
法学研究科 政治学専攻 博士課程3年(2023年度現在)
気づけば五年の月日を法学研究科で過ごしています。
思い起こせば、大学院への進学という志の原点は、学部時代の日本の政治経済史の授業中に抱いた、経済成長の背後にある国家と労働の関係というテーマへのふんわりとした興味でした。卒業後、来日が叶い、地域研究の伝統を有する法学研究科にて、学問を修めることになりました。私は、「社会主義国」中国における失業対策の政治過程をテーマに、修士課程の2年間、次いで博士課程の3年間、勉強と研究を続けてきました。アカデミックな世界に浸かればつかるほど、学術的に見て自身がいかに非学であるかを実感しつつも、
かえって政治学という視点から世界を観察し分析することの楽しさを感じるようになりました。
私にとって大学院とは、自身の無知とそこから生まれる好奇心に真摯に向き合うことのできる場所です。そして法学研究科は、それを追求するための最善の研究環境を提供してくれます。指導教授はもちろんのこと、すべての先生方は、いつも啓発的な指導と意見を与えてくれます。日々切磋琢磨する院生仲間からも、多くの刺激とインスピレーションを得ています。このほかにも、図書館に収蔵される豊富な史料、日本内外の著名な学者を招聘する多彩なシンポジウム、さらには海外調査や研究生活を支えてくれる塾内の研究助成
制度――これらすべてが私の研究生活を支える強固な地盤でありながら、視野と思考を拡張させる弾力性のある空間を提供しています。
私は、この最高の環境のなかで自身の無知と向き合い、それを糧に勉強と研究を続けられることに幸せを感じています。